クラフトワークの9年振りの大がかりな来日ツアー(2013/5/8-18)が大盛況のうちに終了しました。参加したのは、東京・赤坂BLITZの 5:Computer World(5/13) と 8:Tour de France(5/16) の2回だけでしたが、今回は事前にセットリストの予想記事(末尾参照)を書いていたこともあって、コンサートへの入り込み方が通常に比べて半端なく、彼らが既に次のツアー先へ旅立ってしまったあとも興奮醒めやらぬ、といった感じでした。
インスタレーションから「コンサート」へ
今回の公演は、世界主要都市で開かれている、The Catalogue 1 2 3 4 5 6 7 8(3D映像と共に過去8作品を8日間で再現するシリーズ)の一環でした(第一回のNYのみ、Retrospective 1 2 3 4 5 6 7 8)。
ロンドン公演までは会場がいずれも美術館だったこと(ニューヨーク:MoMA、デュッセルドルフ:K20、ロンドン:Tate Modern)、また、一連のコンサートで使われている3D映像が世界初披露されたのが、ドイツ・ミュンヘンのレンバッハハウス美術館でのインスタレーション(2011/10/15~11/13)だったことから、3D映像は、もともと単なるコンサートのためのBGV、というよりも、それ自体が完結したアート〜インスタレーション的な表現として企図されたものだったことが想像されます。
ドイツ・レンバッハハウス美術館での3Dインスタレーションの様子を伝える映像
壁に設置された複数のスクリーン上の3D映像を、観客が広いギャラリースペースで観覧している。
映像は3-Dコンサートで流れた内容と同じ(ドイツ語ヴァージョン)。
メガネはコンサートのものとは形状が違い、渡し切り(配布)ではなく貸出式っぽい。
美術館のリンクが消えているため、下記は展示中の館内写真へのリンク(写真8枚・最後はコンサート)
⎯⎯Reif fürs Museum|Kraftwerk-Ausstellung im Lenbachhaus
しかし今回の東京公演で初めてアートの文脈から離れて、ライブハウスの赤坂BLITZが会場となり、9年振りの本格的な公演を待ちわびた日本のファンの熱狂的な大歓迎を受け、このシリーズでは全くやらなかったアンコールまでやってくれて……と、開始当初からのシリーズの主旨がこの8日間をきっかけに大きく変わったのではないでしょうか。3Dの映像美とサウンドと、クラフトワークのパフォーマンスと観客の反応が一体化した、まさに「完全体」ともいうべき内容で、それが予定外の東京・大阪での2回のアンコールにも繋がったのだとしたら嬉しいです。
ここからは2月の予想の検証を兼ねて、実際にLIVEを体験して気づいたこと、その後新たに調べてわかったことを、個人的なメモ代わりに残していきます。
+
2月に書いたデュッセルドルフ公演の内容を元にした予想でしたが、だいたい大筋で当たっていました。後半の定番曲パートでは『コンピューター・ワールド』がほぼフルで聴けたほか、「Metropolis」以外の『人間解体』収録曲が連日セットリストに含まれていました。
7:The Mix は、実質「コンピューター・ワールド」+「人間解体」をフルカヴァーする内容。連日演奏された「Spacelab」の3D映像は、日本列島が映像の中に挿入された、日本公演独自の内容でした。この曲と「Radioactivity」「電卓」には、クラフトワークから日本への特別な想いのようなものを強く感じました。
純粋にレア曲、アルバム曲を多く聴くためなら、やはり 2:Radio-Activity とか 8:Tour de France あたりに行くのがベターだったかもしれません。ただ、結果的にどの日もバランスよく聴きどころが設けられ、よく考えられたセットリストだと思いました。
実際の演奏曲数は発表されたセットリストよりも多かった
2月に予想として挙げたデュッセルドルフに比べると、ウドーのサイトで連日発表された来日公演のセットリストの方が曲数としては若干少なめでした。が、実際にはリストに含まれない曲も組曲の一部として演奏されていたようでした。
RADIOACTIVITY = Geiger Counter + Radioactivity
TRANS-EUROPE EXPRESS = Trans-Europe Express + Metal On Metal + Abzug
HOME COMPUTER = It’s More Fun to Compute + Home Computer
BOING BOOM TSCHAK = Boing Boom Tschak + Techno Pop
こうしてカウントすると、各日のアルバム曲はほとんど演奏されたことになります(『Tour de France』の「Prologue」は、構成上演奏されていませんでした)。
「Radioactivity」について
NO NUKES 2012ヴァージョンの映像(2-D映像)と日本語詞の出る箇所が変わり、「TSCHERNOBYL〜」と地名を連呼する所は、日本語ではなく元の欧文に戻っていました。2月に書いた記事で「Radioactivity」について「屈辱」という表現を使ったのは、全部の歌詞が日本語フォントのヒラギノゴシックでどかーんと表示されることへの違和感/恥ずかしさが大きかったです。しかし、今回の3-D映像ではそういった恥ずかしさがなくなり、クラフトワークのメッセージや日本に対する想いがよりストレートに伝わってきた印象がありました(デュッセルドルフ、ロンドンで演奏されたのも今回と同じ、日本語詞を含むヴァージョン)。
ウィキペディアで調べたところ、「Radioactivity」の日本語詞を監修したのは坂本龍一、との記述がありました。クラフトワークとYMO一派の珍しいコラボがまたひとつ実現しました。
追記[2024/07/29]
フジロック’24来日に連動してページへのアクセスが増えているため、クラフトワークの重要なレパートリーの一曲である「Radioactivity」(邦題:放射能、ドイツ語題:Radioaktivität)について補足します。
第一期:1975〜/First Release
◎アルバム『Radio-activity』(Radioとactivityの間にハイフン)のタイトルは、「放射能」と「ラジオ活動」のダブルミーニングを込めて名付けられた。1975年リリース時のアルバムとシングル(シングルにはハイフンなし)には、ナチスがかつてドイツ国内に普及させた国民ラジオ(ナチスの政策により国民に配布されたラジオ受信機DKE38)の写真が使われていた。
「ラジオ」を通して届く電波と「放射能」。2つの“目に見えないもの”への不安や違和感(否定、ではない)を表現していたのだと思われる。
アルバム全体では、「ラジオ」と「放射能」を題材にしたと思われる楽曲がほぼ半々の構成になっている。そして、この時点ではまだ「Radioactivity」に、明確な反核・反原子力のメッセージは込められていなかった。
(1975年からずっと反原子力のメッセージを発してきたという趣旨のポストが見受けられたが、それは史実と異なる)
第二期:1991〜/The Mix
◎1991年に、過去のレパートリーをセルフリメイク/リミックスしたアルバム『The Mix』をリリース。収録されたヴァージョンには、原子力の犠牲となった4都市を表す「TSCHERNOBYL, HARRISBURG, SELLAFIELD, HIROSHIMA」(チェルノブイリ、ハリスバーグ、セラフィールド、ヒロシマ)のフレーズがイントロに付け加えられるとともに、曲中の「Radioactivity」の前に短く「Stop」が挿入された。これが「Radioactivity」に明確な反原子力のメッセージが備わった瞬間とされる。
同時期にカットされたシングルには放射能標識を図案化したアートワークが使われ、その後、2009年のリマスター時のアルバムジャケットにも流用されることになる。
1992年にU2等が参加した、原子力施設セラフィールドの稼働に反対するイベント「STOP Sellafield」で、The Mixヴァージョンの「Radioactivity」が(初めて?)演奏されている。
2002年から2011年までのライブでは、フローリアン・シュナイダーのヴォコーダーによる「セラフィールド2」に関するスピーチが、導入時に使用されていた(ライブアルバム『Minimum-Maximum』に収録)。
第三期:2012〜/NO NUKES 2012
坂本龍一ほかの提唱により千葉・幕張メッセで開かれた、脱原発がテーマの音楽イベント「NO NUKES 2012」のゲストとしてクラフトワークが来日。この時演奏された「Radioactivity」には、YMOやN.M.L.(NO MORE LANDMINE/地雷ゼロキャンペーン)などの活動を通して親交のあった坂本龍一による日本語詞が新たに加えられた。
日本でも 放射能
きょうも いつまでも
フクシマ 放射能
空気 水 すべて
日本でも 放射能
いますぐ やめろ
また、イントロの4都市のうち「ヒロシマ」が「フクシマ」に変更されている(イントロと、3回めのフレーズ末尾)。
YouTubeに残された動画で改めて確認すると、この日のプロジェクションでは、4都市も含む全ての歌詞が日本語で表示されていた(ヒラギノ角ゴシックW6と思われる)。それを会場で直接目にした時の感想は、上の方でも書いた通り「恥ずかしい」だった。と同時に、この屈辱はわれわれ自身が受け止め、考えていくべきことだとも思った。
その翌年、2013年の3D公演では、4都市の部分が元の英語表記に戻ったが、坂本龍一版の日本語詞はそのまま残されていた。YouTubeに上がった各地のライブ映像を見る限り、この時と同じ日本語詞が挿入されたヴァージョンが全世界で演奏されているようだ。
(以下は、2023年12月のニュージーランド・オークランド公演の映像。日本語詞に合わせてのシンガロングが見受けられる)
⎯⎯放射能(アルバム)- Wikipedia
──Radioactivity(Song)- Wikipedia
Radioactivity(NO NUKES 2012)
>>クラフトワーク公式サイト
>>YouTube
「Planet of Visions」について
来日公演の前に調べた各国のセットリストでは「Planet of Visions」と「EXPO2000」が混在していたり、「EXPO2000(Underground Resistance Mix)」との記載があったり少し混乱していました。総合すると
Planet of Visions = EXPO2000 + EXPO2000 (Underground Resistance Mix)
ということになるようです。かつて「EXPO2000」として発表された曲を「EXPO REMIX」とのメドレーで演奏する時の曲名が、ある時期から「Planet of Visions」に改題された、と。このメドレー形式での演奏はおそらく2002年頃から行われていたが、曲名変更が正式に広まった/伝わったのは、ライブアルバムの『Minimum-Maximum』(2005)発表以降ではないかと思われます。
「EXPO2000」はドイツのハノーヴァー万博のために彼らが作ったジングル/サウンドロゴを拡張して作られた曲でしたが、偶然見つけた当時の万博のレポート記事で、ハノーヴァー万博には「Planet of Visions」という名前のパビリオンが存在していたことがわかりました。
+
約2時間に及ぶ長丁場を、休憩や水分補給もせずずっと立ちっぱなしでこなしたクラフトワークの高齢メンバー(ラルフ67歳、ヘニング59歳…)を筆頭とした4人によるパフォーマンスとサーヴィス精神には、心から感服させられました(デュッセルドルフと、今度のシドニーでは一日二回公演も!)。さすがマンマシーン、というか、噂に聞く日頃の自転車鍛錬の賜物なのでしょうか。今度来日する時まで、彼らのタフさに付いていける体力をキープしておかないと。次回はぜひ新作での来日を!
Kraftwerk – The Catalogue 1 2 3 4 5 6 7 8
@Akasaka BLITZ, Tokyo
(引用元:ウドー音楽事務所:クラフトワーク公演サイト)
*太字=アルバムからの曲
1:Autobahn
(TYO:5/8)
01. Autobahn
02. Kometenmelodie 1
03. Kometenmelodie 2
04. Mitternacht
05. Morgenspaziergang
06. Radioactivity
07. Trans-Europe Express
08. The Robots
09. Spacelab
10. The Model
11. Neon Lights
12. The Man-Machine
13. Numbers
14. Computer World
15. Home Computer
16. Dentaku
17. Computer Love
18. Tour de France 1983 + Intro
19. Tour de France 2003
20. Planet Of Visions
21. Boing Boom Tschak
22. Musique Non-Stop
2:Radio-Activity
(TYO:5/9)
01. Radioactivity
02. Radioland
03. Airwaves
04. Sendepause
05. Nachrichten
06. Die Stimme Der Energie
07. Antenna
08. Radio Sternes
09. Uran
10. Transistor
11. Ohm Sweet Ohm
12. Autobahn
13. Trans-Europe Express
14. The Robots
15. Spacelab
16. The Model
17. The Man-Machine
18. Numbers
19. Computer World
20. Home Computer
21. Dentaku
22. Computer Love
23. Tour de France 1983 + Intro
24. Tour de France 2003
25. Planet Of Visions
26. Boing Boom Tschak
27. Musique Non-Stop
3:Trance-Europe Express
(TYO:5/10)
01. Trans-Europe Express
02. Franz Schubert
03. Europe Endless
04. Hall Of Mirrors
05. Showroom Dummies
06. Autobahn
07. Radioactivity
08. The Robots
09. Spacelab
10. The Model
11. The Man-Machine
12. Numbers
13. Computer World
14. Home Computer
15. Dentaku
16. Computer Love
17. Tour de France 1983 + Intro
18. Tour de France 2003
19. Planet Of Visions
20. Boing Boom Tschak
21. Musique Non-Stop
4:The Man Machine
(TYO:5/11)
01. The Man-Machine
02. Spacelab
03. The Model
04. Neon Lights
05. Metropolis
06. The Robots
07. Autobahn
08. Radioactivity
09. Trans-Europe Express
10. Numbers
11. Computer World
12. Home Computer
13. Dentaku
14. Computer Love
15. Tour de France 1983 + Intro
16. Tour de France 2003
17. Vitamin
18. Planet Of Visions
19. Boing Boom Tschak
20. Musique Non-Stop
5:Computer World
(TYO:5/13)
01. Numbers
02. Computer World
03. Home Computer
04. Pocket Calculator
05. Dentaku
06. Computer Love
07. Autobahn
08. Radioactivity
09. Trans-Europe Express
10. The Robots
11. Spacelab
12. The Model
13. Neon Lights
14. The Man-Machine
15. Tour de France 1983 + Intro
16. Tour de France 2003
17. Vitamin
18. Planet Of Visions
19. Electric Café
20. Boing Boom Tschak
21. Musique Non-Stop
6:Techno Pop
(TYO:5/14)
01. Electric Café
02. The Telephone Call
03. House Phone
04. Sex Object
05. Autobahn
06. Radioactivity
07. Trans-Europe Express
08. The Robots
09. Spacelab
10. The Model
11. Neon Lights
12. The Man-Machine
13. Numbers
14. Computer World
15. Home Computer
16. Dentaku
17. Computer Love
18. Tour de France 1983 + Intro
19. Tour de France 2003
20. Planet Of Visions
21. Boing Boom Tschak
22. Musique Non-Stop
7:The Mix
(TYO:5/15)
01. The Robots
02. Computer Love
03. Autobahn
04. Radioactivity
05. Trans-Europe Express
06. Numbers
07. Computer World
08. Home Computer
09. Pocket Calculator
10. Dentaku
11. Spacelab
12. The Model
13. Neon Lights
14. Metropolis
15. The Man-Machine
16. Tour de France 1983 + Intro
17. Tour de France 2003
18. Vitamin
19. Planet Of Visions
20. Boing Boom Tschak
21. Musique Non-Stop
8:Tour de France
(TYO:5/16)
01. Tour de France 1983 + Intro
02. Tour de France Étape 1/3
03. Chrono
04. Tour de France Étape 2
05. Vitamin
06. Aéro Dynamik / Titanium
07. Elektro Kardiogramm
08. La Forme / Régéneration
09. Autobahn
10. Radioactivity
11. Trans-Europe Express
12. The Robots
13. Spacelab
14. The Model
15. The Man-Machine
16. Numbers
17. Computer World
18. Home Computer
19. Computer Love
20. Boing Boom Tschak
21. Musique Non-Stop
Encore
22. Pocket Calculator
23. Dentaku
24. Planet Of Visions
+
Namba Hatch, Osaka
(5/18・追加公演)
01. The Robots
02. Metropolis
03. Numbers
04. Computer World
05. Home Computer
06. Computer Love
07. The Man-Machine
08. Spacelab
09. The Model
10. Neon Lights
11. Autobahn
12. Tour de France 1983 + Intro
13. Tour de France 2003
14. Vitamin
15. Radioactivity
16. Trans-Europe Express
17. Aéro Dynamik / Titanium
18. Boing Boom Tschak
19. Musique Non-Stop
Encore
20. Pocket Calculator
21. Dentaku
22. Planet Of Visions
クラフトワーク3-D東京公演の曲目を予想してみた
[2013/02/15]
クラフトワークが『アウトバーン』から『ツール・ド・フランス』までの8枚のアルバムを、3D映像をバックに8日間に渡って再現する 3-D CONCERTS 1 2 3 4 5 6 7 8 。2012年のニューヨークMoMA、2013年に入ってからのデュッセルドルフK20、ロンドンTate Modernに続いて、ついに日本でも開催されることになりました。会場は、過去3公演とは違って美術館ではなく赤坂BLITZ、とのことで美術館好きとしては少々残念でしたが。
参考までに、ネットで拾った各会場のキャパシティ(人)とチケット料金(+執筆時点の円換算)⎯⎯ MoMA=400/$25(¥2318)、K20=700?/€55(¥6798)、Tate=1000/£60(¥8610)、赤坂BLITZ=1400/¥9500。だんだん上がってます……。ちなみにMoMAではキャパが小さすぎたため、チケット購入の上限が全日程の中から一人2枚まで、という非情な枚数制限が設けられ、それに対して総統がお怒りになられた映像が作られたほどでした(→Hitler reacts to Kraftwerk MoMa ticket limit…笑)。
初来日の1981年と、2002年のElectragride以外、来日公演は欠かさず観てきたこともあり、今回も本当は全部観に行く!と力強く言いたいところですが、残念ながら予算的にも時間的にも難しいので、過去3回の美術館公演のセットリストを調べ、自分なりに見どころを検討してみました。
今回のツアーの構成から考えて、レパートリーやセットリストを開催国によって大きく変えることはないだろうと予測し、美術館LIVEの直近2公演のうち、(ロンドンはこれを書いている時点で進行中のため)デュッセルドルフK20のセットリストを参考にしました。2月中旬時点での予想のため実際の演目とは異なること、事前のどんな情報よりも公演当日の体験の方がきっと価値が大きいであろうことをあらかじめお断りしておきます(今回は3Dだけに)。これ以降の推測は全て、下記のセットリストが東京公演の演目と同じ、もしくは近いという想定を元に進めます。
基本構成は「アルバム曲+定番の曲」
8日間とも基本的に冒頭が各日のアルバムからの曲で、後半が全作品からセレクトされたここ数年のLIVEでの定番の曲、という構成のようです(The Mixだけこの法則から外れます。後述)。後半「Autobahn」から始まって「Musique Non-Stop」で終わる曲順は毎日ほぼ同じで、前半のアルバムパートで演奏した曲がそこから省かれる、というパターンです。たぶん終盤の『Techno Pop』からの3曲は、昨年のNO NUKES 2012と同じくアンコールで、「Musique Non-Stop」で一人ずつ担当パートの音を止めてステージからはけていく様子が目に浮かびます。
アルバムの曲だけを演奏して終わり、ということはなく、どの日に行ってもクラフトワークの定番の曲は楽しめそうなので、無理して全公演を観に行く必要はないと思います。自分が好きな/思い入れのあるアルバムの日に行ければいいかな、というのがいまのところの見解です。
気になる公演、その他の見どころなど
定番のレパートリー以外のアルバム収録曲は、今回を逃すともう生で見る機会は二度となさそうで、となると 1:Autobahn、2:Radio-Activity の初期作の再現がどんな感じか気になります。定番曲とのカブりが少なく、曲数も多くてほとんどアルバムの曲順通りに演奏される 2:Radio-Activity と 8:Tour de France は、アルバムパートの時間が長くてお得だと思います。
上記以外で、後半で長く演奏される曲とのカブりが多い日は、よほどの思い入れと余裕がなければ外してもいいかな、と個人的には思ってます。特に 6:Techno Pop の日は、前半で「Boing〜」から「Music〜」の流れを先にやってしまうため、最後に例の一人ずつ退出して行く終わり方が見られず、このままだとやや物足りないのではという気がしました。
それと 7:The Mix は、クラフトワークのレパートリーのほとんどが既にThe Mix化していることもあり、アルバム曲との違いがあまり明確でなく、8公演の中では少し微妙かなと思いました。大阪の1日公演はもしかしたらThe Mixの日の内容を軸に行われるのでは、と密かに予想してます(美術館LIVE以外の3D単独公演も各国で行われているので、おそらくそちらのセットリストに近いのかも)。
曲単位でいえば、日本語詞で来日公演では必ず盛り上がる「Dentaku」も見逃せません。デュッセルドルフ公演の場合は、5:Computer World か 7:The Mix のいずれか。でもその他の日でも、過去の来日のようにダブルアンコールでやってくれそうな期待も。ちなみにNO NUKES 2012で披露された「Radioactivity」日本語ヴァージョン(フクシマ、放射能〜)は、今年のデュッセルドルフ、ロンドンでも演奏されています。昨年よりも多くの人々が、あの消え入りたくなるような「屈辱」を今度は3D映像付きで体験することになるでしょう。
結局行くことにしたのは……
結局いろいろ検討した結果、5:Computer World と 8:Tour de France の2日分を申込みました。もしも余裕があれば 2:Radio-Activity も行ってみたいところですが、さてどうでしょう。
5にした理由は、『Computer World』がクラフトワークで一番好きなアルバムだから(「Numbers」からの流れなど、全体にこれまでLIVEで演奏された機会が多いアルバムでもあります)。あとは「Dentaku」が確実に聞けそうなのと、デュッセルドルフの演目には「Neon Lights」が含まれていて、行けなかった1981年の中野サンプラザ公演(『The Man Machine』〜『Computer World』リリース後のツアー)を思わせる内容になりそうなこと。
8は、やはりアルバム曲を頭からフルで長く聞けることが一番の理由(『Computer World』と一、二を争う好きなアルバム)。ツール・ド・フランスだけに3D映像にも動きやスピード感がありそうだし、最終日だから何か特別なアンコールをやってくれるかも、という期待を込めて。
余談ですが、Tate Modern公演はLIVE中の写真撮影が自由で、クラフトワークのTwitterアカウントでも連日ハッシュタグを使った写真の投稿を呼びかけているようです。日本ではどうなんでしょうね。
(2013/5/10追記:東京3日目からラルフの意向で、携帯・スマートフォンでの撮影OKになりました)
>>ウドー音楽事務所:クラフトワーク公演詳細(リンク切れ)
(以下は、2013年1月のデュッセルドルフ公演のセットリストです)
Kraftwerk – The Catalogue 1 2 3 4 5 6 7 8
@Kunstsammlung Nordrhein-Westfalen: K20 Grabbeplatz, Dusseldorf
*太字=アルバムの曲 *ドイツ語ヴァージョンを英語の曲名に直しています
*複数のソースを参照しましたが実際の演目とは一部異なる可能性もあります
1:Autobahn
(DSD:1/11)
01. The Robots
02. Autobahn
03. Kometenmelodie 1
04. Kometenmelodie 2
05. Mitternacht
06. Morgenspaziergang
07. Geiger Counter
08. Radioactivity
09. Trans-Europe Express
10. Spacelab
11. The Model
12. Neon Lights
13. The Man-Machine
14. Numbers
15. Computer World
16. Computer Love
17. Home Computer
18. Tour De France 1983
19. Tour De France 2003
20. Vitamin
21. Planet Of Visions
22. Boing Boom Tschak
23. Techno Pop
24. Musique Non-Stop
2:Radio-Activity
(DSD:1/12)
01. The Robots
02. Geiger Counter
03. Radioactivity
04. Radioland
05. Airwaves
06. Intermission
07. News
08. The Voice of Energy
09. Antenna
10. Radio Stars
11. Uranium
12. Transistor
13. Ohm, sweet Ohm
14. Autobahn
15. Trans-Europe Express
16. Spacelab
17. The Model
18. The Man-Machine
19. Numbers
20. Computer World
21. Home Computer
22. Tour De France 1983
23. Tour De France 2003
24. Vitamin
25. Planet Of Visions
26. Boing Boom Tschak
27. Techno Pop
28. Musique Non-Stop
3:Trance-Europe Express
(DSD:1/13)
01. Trans-Europe Express
02. Abzug
03. Metal On Metal
04. Franz Schubert
05. Endless Endless
06. Europe Endless
07. Hall Of Mirrors
08. Showroom Dummies
09. Autobahn
10. Geiger Counter
11. Radioactivity
12. The Robots
13. Spacelab
14. The Model
15. The Man-Machine
16. Numbers
17. Computer World
18. Computer Love
19. Home Computer
20. Tour de France 1983
21. Tour de France 2003
22. Planet Of Visions
23. Boing Boom Tschak
24. Techno Pop
25. Musique Non-Stop
4:The Man Machine
(DSD:1/16)
01. The Man-Machine
02. Spacelab
03. Metropolis
04. The Model
05. Neon Lights
06. The Robots
07. Autobahn
08. Geiger Counter
09. Radioactivity
10. Trans-Europe Express
11. Showroom Dummies
12. Numbers
13. Computer World
14. Computer Love
15. Home Computer
16. Tour de France 1983
17. Tour de France 2003
18. Planet Of Visions
19. Boing Boom Tschak
20. Techno Pop
21. Musique Non-Stop
5:Computer World
(DSD:1/17)
01. Numbers
02. Computer World
03. Pocket Calculator
04. Dentaku
05. Computer Love
06. It’s More Fun to Compute
/ Home Computer
07. Autobahn
08. Geiger Counter
09. Radioactivity
10. Trans-Europe Express
11. Showroom Dummies
12. The Robots
13. Spacelab
14. Metropolis
15. The Model
16. Neon Lights
17. The Man-Machine
18. Tour de France 1983
19. Tour de France 2003
20. Vitamin
21. Planet Of Visions
22. Boing Boom Tschak
23. Techno Pop
24. Musique Non-Stop
6:Techno Pop
(DSD:1/18)
01. Boing Boom Tschak
02. Techno Pop
03. Musique Non-Stop
04. Electric Café
05. The Telephone Call
06. House Phone
07. Sex Object
08. Autobahn
09. Geiger Counter
10. Radioactivity
11. Trans-Europe Express
12. Showroom Dummies
13. The Robots
14. Spacelab
15. The Model
16. Neon Lights
17. The Man-Machine
18. Numbers
19. Computer World
20. Computer Love
21. Home Computer
22. Tour de France 1983
23. Tour de France 2003
24. Planet Of Visions
7:The Mix
(DSD:1/19)
01. The Robots
02. Computer Love
03. Pocket Calculator
04. Dentaku
05. Autobahn
06. Geiger Counter
07. Radioactivity
08. Trans-Europe Express
09. Spacelab
10. The Model
11. Neon Lights
12. The Man-Machine
13. Numbers
14. Computer World
15. Home Computer
16. Tour de France 1983
17. Tour de France 2003
18. Vitamin
19. Planet Of Visions
20. Electric Café
21. Boing Boom Tschak
22. Techno Pop
23. Musique Non-Stop
8:Tour de France
(DSD:1/20)
01. Prologue
02. Tour de France 1983
03. Tour de France 2003 Étape 1
04. Tour de France 2003 Étape 3
05. Chrono
06. Tour de France 2003 Étape 2
07. Vitamin
08. Aéro Dynamik
09. Titanium
10. Elektro Kardiogramm
11. La Forme
12. Régéneration
13. Autobahn
14. Geiger Counter
15. Radioactivity
16. Trans-Europe Express
17. The Robots
18. Spacelab
19. The Model
20. The Man-Machine
21. Numbers
22. Computer World
23. Computer Love
24. Home Computer
25. Planet Of Visions
26. Boing Boom Tschak
27. Techno Pop
28. Musique Non-Stop