
D=下山ワタル
AU=近廣直也
W=川口和正
PH=沼田学、ダブ山キシン
ED=杉山敦
CL=TUK TUK CAFE
2024.9
どうげんぼうずという仕事
近廣直也/著 川口和正/取材・構成 (TUK TUK CAFE)
出版レーベルTUK TUK CAFEから刊行された書籍第一弾。新中野のラーメン店「麺屋どうげんぼうず」店主・近廣直也(チカヒロ)さんへの、ライターの川口和正さんによる聞き書きをまとめた本。
店主のチカヒロさんは飲食店業の傍ら、お店の定休日の毎週月曜にイスラエル大使館でひとり抗議活動を行い(動画はSNSに投稿され世界中で閲覧されている)、年末の炊き出しなどで大人から近所の子どもまで困っている人々を助ける。「大人の仕事」と彼が呼ぶ、日常の業務だけに留まらない、社会の全方位に向けられた「仕事」論がまとめられている。
この種の自伝本では珍しいオールカラーで、チカヒロさんの厨房での仕事を時系列で撮影した沼田学さんの写真を、写真集に近い点数で収録した。
刊行と並行して、販促目的のリーフレット「どうげんぼうず通信」01/02/03、店内掲出用の大型ポスター、SNS用告知バナーなども作成した。
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この仕事に入る前にいくつかの独立系書店を視察した際、ZINE/リトルプレスにはデザインがないものかデザインに異様に凝ったもののどちらかしかないという印象を持った(当時調べ)。真っ当な内容に合わせて(どうげんぼうずのラーメンのように)、必要以上に凝らず、真っ当なデザインでストレートに読者に届く本を目指した。
ほぼノンプロモーションながら、都内の複数の書店での取扱や出演したYouTube番組への反響をきっかけに、全国の独立系書店・大型書店など30店以上(荻窪・Title、新宿・BERG、京都・誠光社 etc.)からの注文により販路が着実に広がっていった。半年で当初予定在庫を完売。ときわ書房志津ステーションビル店「志津ノーベル賞2025」ビジネス部門入賞。
初版を半年で売り切って、再版以降は未収録原稿を追加した電子書籍版(制作中)へと移行するなど、大手版元では真似できない戦略もユニークで、デザインという仕事の捉え方においても多くの示唆と刺激を得た。




