
:::音楽:::
連続テレビ小説「あまちゃん」オリジナル・サウンドトラック1〜3 大友良英
Random Access Memories Daft Punk
#JUSTJIN 赤西仁
なんだこれくしょん きゃりーぱみゅぱみゅ
人間と動物 電気グルーヴ
lost decade tofubeats
DOTS Flare a.k.a. Ken Ishii
売れている/大衆から支持を得ている作品が素直に良いと感じられる一年でした。
『あまちゃんサウンドトラック』は仕事のBGMとしてよく聴いていました。単純に音楽として良質なだけでなく、聴くたびにアキやユイちゃんなど北三陸の人々の顔が浮かんで優しい気持ちになれました。
Daft Punk「Get Lucky」や天野春子「潮騒のメモリー」のような、自分が小学〜高校生の頃に街やラジオでかかっていたタイプの音楽が、街のレコード店で最新ヒットとして流れている状況が不思議でした。『Random Access Memories』は、アルバムトータルで丁寧に作りこまれた傑作だったと思います。
2年ほど前だったか、毎週録画していた「ベストヒットUSA」で、渡米して本格的な音楽活動を始めたばかりの赤西仁が、司会の小林克也のインタビューに答えていました。その頃アメリカのチャートを占有していた、四つ打ち+ヴォーカル・エフェクトが特徴的なダンス・ミュージック、のちにEDMと呼ばれて広く知られるようになった音楽の手法を、正確にトレースしていたのに驚きました。『#JUSTJIN』は、彼が日本のファンに背を向けて渡米してまで伝えたかった音楽表現、その全てが詰まった集大成的なアルバムだと思うし、ぼくは高く評価しています。

:::アート:::
カイユボット展 (東京=ブリヂストン美術館)
アメリカン・ポップ・アート展 (乃木坂=国立新美術館)
アンドレアス・グルスキー展 (乃木坂=国立新美術館)
カイユボット展は、それまで全く触れたことのなかった印象派の世界を、写真(とその技法)と関連づけて観る、という新しい視点へのヒントをくれた重要な展覧会でした。これを書いている時点で、モネなどほかの画家へも興味が広がっています。スマイレージ和田彩花さんの連載「乙女の絵画案内」も現代以前の美術への扉を開いてくれる後押しとなりました。

:::本:::
ミッドナイト・エクスプレス 沢木耕太郎 (文藝春秋)
プラスチックスの上昇と下降、そしてメロンの理力・中西俊夫自伝 (K&Bパブリッシャーズ)
『ミッドナイト・エクスプレス』は、「とある旅」(後日注:入院)への携行書でした。『深夜特急』I~III+ノートが一冊になった、沢木耕太郎ノンフィクション集成の一冊。
『深夜特急』自体通して読むのは、四度目か五度目くらい。漢語的表現を巧みに用いつつ、高校生でも易しく読めるような平易かつ上品な文体を隠れ蓑にして、この本が伝えているのは「行き当たりばったりでもなんとかなる」「結果は風まかせ」のような反社会的生き方のススメであり、それが時代や世代を超えていまだに多くの人々の心を捉え続けている理由だと思います。そして、そうした生き方は自分の人生に100%欠けていたものだった、ということが、今回の「旅」での再発見でもありました。
中西俊夫自伝で、鈴木杏樹が女優として知られる前、Kakkoというシンガーとして、ストック・エイトキン・ウォーターマンのプロデュースでシングルをリリースしていたこと(デビュー前のロンドン留学時代に、中西と交流があった)を知ったのが、まあ別に知らなくてもいいようなちょっとした発見でした。

:::雑誌:::
スペクテイター(エディトリアル・アパートメント/幻冬舎)
BRUTUS(マガジンハウス)
雑誌って、まだ生き残っていたんだ。ちゃんとした編集者(赤田祐一氏)が加わるだけで雑誌ってこんなに生き生きと立体的に変わるものなんだな……と、なんだか白髪交じりの旧友と再会したような喜びが、スペクテイターの読後にはありました。編集の拠点を数年前、東京から長野市に移転しているところも、そのオルタナティヴな内容と相まって興味深く感じました。なんとなく、キンフォークよりもスペクテイターかなあ、と現時点では思います。
:::おまけ=ハロプロ楽曲大賞2013:::
1位|哀愁ロマンティック モーニング娘。[道重さゆみ・譜久村聖]
2位|ロマンスの途中 Juice=Juice
3位|愛の軍団 モーニング娘。
4位|ヤッタルチャン スマイレージ
5位|私の心 スマイレージ
次点|天まで登れ! ハロプロ研修生 feat. Juice=Juice
サクラ時計 田﨑あさひ
⎯⎯第12回ハロプロ楽曲大賞2013
Juice=Juice「ロマンスの途中」は、モーニング娘。初期を思わせる見事なファンクチューン。2ndの「イジワルしないで抱きしめてよ」も、90年代のUKソウルっぽさ漂うハウス曲で、Juice=Juiceはいまのところ自分が普段聴いている音楽との落差が非常に少ないグループです。今後に期待。
スマイレージも、ロックンロールやオールディーズのテイストを取り入れた「ヤッタルチャン」、ガールズラップ(ソルトンペパ、スパイス・ガールズ、etc.)の「ええか!?」など、昨年も楽曲の良さが光っていました。先日のハロコンでも観客とのコールアンドレスポンスがいちばん盛り上がっていたし、つんく♂の低評価(?)とは裏腹に着実に力をつけている、ハロプロでは最も面白いグループ。
モーニング娘。のクオリティが上がってソリッドかつ若干固定化の傾向が出てきた分、こうした若い勢力にも注目しているところです。ハロプロの中に、ぼくが愛してきた音楽の全て、とは言わないまでも、かなりの要素が含まれていることは事実で、これからもしばらく追い続けていくつもりです。