NewJeansのサウンドプロデューサーとしても知られ、韓国の大衆音楽トロット/ポンを現代的に解釈するクリエイター250(イオゴン)のLIVE。今回はジャパンツアーということで、大阪、東京、名古屋、長野の4都市のライブハウスを巡回するスケジュールが組まれていた。ぼくが行ったのは6月9日金曜日の、渋谷・CIRCUS Tokyoでの公演。
会場に到着し入場列に並んだちょうどその時、声をかけられて振り向くと、以前仕事をしたK-POPフリークの絵本編集者とばったり。LIVE終了後、アフターコロナらしく焼鳥屋に立ち寄って、K-POPと日常の話題に花を咲かせた話はここでは省略させていただく(でも楽しかった)。
韓国に脈々と伝わる大衆音楽「トロット/ポン」のエッセンスを抽出し、制作に4年をかけたという彼のアルバム『PPONG』からは、意外にも90年代に日本でも流行ったラウンジ/モンド・ミュージックの文脈に近い匂いを感じていた。初期のまりん(砂原良徳)やTRANSONICレーベルにも通じる、文化に対するエキゾ目線。
その予想は、本番のLIVEを観てかなり当たっていたと感じた。というか、想像を遥かに超えた90年代ラウンジ/モンド的なテイストに驚いてしまった。具体的には、Lindberg Hemmer FoundationとかJimi Tenorの名前が浮かんでくる(共演のVIDEOTAPEMUSICもSoi 48も、250の路線とぴったりフィットしていたと思う)。LIVEの前半は、あまりにもラウンジ/ムード歌謡の度合が過ぎて、正直退屈に感じたほどだった。後半からステージ正面に移動してのノンストップメドレーが始まって、やっとオーディエンスも解放された感があった。
モンドな印象を持った音色なのに、会場内での出音が低音にも高音にも偏らず、耳障りさが一切なく、終始バランスが良くクリスタルクリアーで心地よかった。後で調べたら、当日のエンジニアがDRY AND HEAVYやLittle Tempoなどを手がけてきた内田直之さんだと知った。
都合1時間10分ほどのステージの間、イオゴンは一度も笑顔を見せなかったと思う。NewJeansのフレーズなどを混ぜてファンサービス、といったことも全くなく、最後まで孤高のトロット探求者の姿勢を貫いていた。
⎯⎯韓国のプロデューサー・250、待望のジャパンツアーにVIDEOTAPEMUSIC、Shhhhh、Soi48らが参加|Qetic
⎯⎯NewJeansの楽曲プロデューサー250の自問自答 “ポン(뽕)”に込めたニュアンスを解体する|TOKION