2014年12月17日(水)、THE BOOM「25 PEACETIME BOOM」FINAL@日本武道館。いよいよバンドとしての25年間の活動に幕が下ろされる日がやって来た。
今年武道館で観たコンサートは、7月のスマイレージと10月・11月のモーニング娘。’14の2DAYSの三回。武道館がロックの聖地だった時代は遠くに去り、いまやアイドルにとっての聖地の方がふさわしいのかもしれない。ぼく自身をとりまく音楽環境もここ数年で大きく様変わりしてしまった。そんな今の自分を、THE BOOMのロックは突き刺してくれるだろうか。不安がなかったといえば嘘になる。とにかく、今のTHE BOOM、今日のTHE BOOMを見せてほしい。ただそれだけを思った。
そして開演。代表曲の「島唄」を一曲目に持ってくるところに、今日のTHE BOOMの攻めの姿勢を感じた。MCをほとんど挟まず、ほぼノンストップで演奏が続けられていく。不安は杞憂に過ぎなかった。「言いたいことは、今日演奏する曲の中に全て込めた」とMIYAがわずかなMCの中で言った通りだった。宮沢和史の歌声とパフォーマンス、あらゆるジャンルの楽曲に対応するバンド全体としての演奏力、どれをとっても衰えは感じられず、20年位前のコンサート会場にいると錯覚してしまう瞬間もあった。
「おりこうさん」「不思議なパワー」などの初期の人気曲だけでなく、『極東サンバ』『TROPICALISM -0°』のような中期のアルバムからエッジの鋭い曲が選ばれていることにも驚いた。これらの楽曲に込められたメッセージや社会批判は、ほとんどそのまま2014年の現在にも通用するものばかりだった。それ(25年間、音楽で世界は変わらなかったこと)を示唆する映像を途中に挟みながらも、「未来を信じる」という言葉で、彼らはその想いを未来の喜びへと繋ごうとしていた。この日の演奏は、今のTHE BOOM、今日のTHE BOOMの全てであると同時に、それぞれが25年間のTHE BOOMとリアルタイムで繋がっているようにも感じられた。
いろんな人に削られて けむりになって消えちゃった
なにもない 愛のかたまり
ありがとう ありがとう 忘れない
バイバイ バイバイ
(愛のかたまり/THE BOOM)
初期のライブでも最後に歌われることが多かった「愛のかたまり」が、25年のラストにこれほどふさわしく響くとは……。完熟した果実がぽとりと地面に落ちるような解散だったと思う。万感の想いが溢れてきたが、涙は流れなかった。「未来を信じる」という彼らからの最後のメッセージを信じて、果実から弾けた種子がいつか新しい花を咲かせるのをぼくは静かに待ちたい。本当に25年間お疲れさまでした。
THE BOOM、武道館で25年の活動に幕 宮沢万感「世界一幸せ」|ORICON STYLE – 音楽ニュース
http://www.oricon.co.jp/news/2046092/full
THE BOOM武道館3時間ライブで大団円「信じてくれてありがとう」|音楽ナタリー
(セットリスト含む)
http://natalie.mu/music/news/134111