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Kiiiiiii US Tour report 02: Cake Shop, NY, 04/APR/2007

お待たせしました。4月4日、Kiiiiiii@Cake Shopのレポートです。
この日は照明が暗くて写真が撮りづらかったせいか、いいコンディションの写真がネット上にもあまり残っていないようです。
 

Kiiiiiii US Tour report 02: Cake Shop, NY, 04/APR/2007

Kiiiiiii NY Tour3日目の会場は、Cake Shop(ケーキ・ショップ)という可愛い名前の店だった。前日のTonicもここも、宿泊していたホテルから徒歩圏内のlower east一帯に含まれている。チャイナタウンに近接するこの辺りは中国語の看板が目立ち、古びた低層の建物が立ち並ぶいかにもダウンタウンといった印象の街並みだが、最近は家賃の安さにひかれて若いアーティストが次々と移り住んでいるという。可愛い雑貨屋や若者が集まるバーやカフェも多く、街の印象としてはちょっと「下北沢」っぽいところがあった。
 

 
このCake Shopも、下北沢に行けばありそうな感じのcafe + record shop + bar(ライブハウス)という業態。入口にある看板も内装もピンクを基調としていて、店の名前に劣らず可愛い。店の奥にあるレコードショップでは、アナログ、CD/DVD、ミニコミなどが売られている。BGMはelectroに80’s disco、ヴィンテージ・ロック……と無節操なのがいい。入って右側の奥まで続く壁にずらーっと椅子とテーブルが並ぶ。店内はWi-Fi free(無線LAN有)で、ノートPCを持ち込んで仕事やnet surfingをしている人も何人かいた(Wi-Fi freeと看板が掲げられた店はほかにも何軒かあった)。店内は決して広くはないけど、天井の高い壁を背にして椅子に深く腰を下ろし、ミルクのたっぷり入ったchaiをゆっくり飲んでいると、とても気分が落ち着いてくる。おそるべき和み空間。日本にもしCake Shopがあったらきっと頻繁に通ってしまうだろう。すっかり和んで夏の輪ゴムのように伸びきっているところに、本番前のKiiiiiiiの二人がやってきて夕べのライブのことやアメリカに来てからの話をしてくれた。u.t.はまだ声の調子が良くなさそうで、大事を取って腹話術の人形のように口パクでの会話だった。出番が近付いて二人が地下へと消えたのに続き、カウンターで入場料を払って「BAR」という看板の矢印が指し示す地下への階段を降りていった。
 

 
地下のライブ・スペースは縦に長く、barやstageの位置などいろんな点で下北沢のClub 440というライブハウスに似ていた。スケジュールによればこの日のactはPandatone、Exeter Popes…等とあり、Kiiiiiiiの出番は3番目。Tonicとは違ってall standingで客層も日本のライブハウスに近く、若者が多い。前のバンドの演奏が終わったところで前方に進もうとするが、混んでいて身動きがとれない。突然BGMが変わって、懐かしいザ・ヴィーナスの「キッスは目にして」が流れてきた。ステージは低くて、かなり前に近い方でも演奏がよく見えなさそうだったので、そのまま前に進み、ステージ左側の少し空いている場所で見ることにした。そこはスタッフや日本人の来客が陣取る「保護者席」と化していた。しかしそこにも普通の観客が集まってやがてぎゅうぎゅうになってしまうのだが……。BGMは中森明菜の「少女A」になり(Lakinが飾り付けしながら口ずさんでいる)、次に田原俊彦「抱きしめてTONIGHT」に変わった。アレンジがいま聴くと逆に新鮮で「トシちゃんってelectroだったんだ」……この日のどうでもいい発見だった。
 

 
BGMが終わり、Kiiiiiiiのライブがスタートした。二人が手を高く掲げるのを真横から見たのは初めてだった(打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?)。どこから情報を聞きつけてやってきたのだろうと不思議に思うくらい、フロアは観衆でぎっしり。Tonicの4倍から5倍は入っている。そしてバンコクのときと同様、反応がものすごく熱かった。下手すると日本人が一番おとなしいのでは? 単に騒ぎたくて声を張り上げてる風でもなく、ステージにちゃんと呼応してライブを盛り上げているのが感じられる。一曲終わるごとに「Great!」「I love you!」…だんだん表現がエスカレートしていく。定番のポーズにも笑ってくれるし。「We’re the BAD」の”We are the world”のくだりに、Tonicと違って反応が小さかったのはジェネレーション・ギャップの問題かも(?)。
 

 
ちょうど目の前にキーボードがあったため、座っている場所からはLakinのドラムがあまりよく見えなかった。かわりに、u.tの歌と最前列の観客の反応にフォーカスしてじっくり見ることができた。喉が本調子ではないことを一切感じさせないくらい、この日の彼女のパフォーマンスは凄かったと思う。「never never never land」でティンカーベルを放つときの手つき(本当にそこにいるみたいだ…)と、それを見て「ほぉぅ」と大きくうなずく最前列の男子の顔がいまも脳裏に焼き付いている。「word of wisdom」の“小さな死”と「be honest」のエアギターも完璧。映像は真っ暗だけど、そのときの会場の様子がYouTubeに残っている。本編最後の「wishing the penguin star」(Lakinのおもちゃのワニはいつでも人気だった)を終えて、u.t.がステージ裏手にある楽屋のドアを、ビールの栓でも開けるみたいに勢いよくkickして中に入っていった。盛大なアンコールに応えて「4 little joeys」と「Kiiiiiii (rap)」を演奏し、すべてを終えて楽屋に戻ったu.t.とLakinが半開きのドアの向こうでhugしているのが見えた。そしてu.t.がやってきてぼくたちと抱擁。目には涙。膝はがくがく。本当によかった。Lakinとも固い握手。

そういえば、途中でtoy-keyのマイクのトラブルが発生して音が出なくなったとき、ステージに素早く駆け上がって助けてくれた日本人の男性がいた。あまりにスムーズだったのでお店の人かと思っていたら、そうではなくて「正義の味方」だった。SXSWつながりで、テキサスでKiiiiiiiと対バンしたPEELANDER-ZのYellowさんが、ニューヨーク在住ということで遊びに来てくれたのだった。ライブが終わってから固い握手を交わし、先ほど助けてくれたことへのお礼を言ったら、「いやあ、あの子たちの周りには、助けたいという気持ちにさせる何かがあるんですわ!」とうれしい言葉が返ってきた。でもホント、その通り。終演後のBGM、RCサクセションの「トランジスタ・ラジオ」を楽しげに口ずさんでいた。それにしてもイエローさんも前日のmumbleさん(この日も来てくれた)もそうだけど、ここニューヨークでもKiiiiiii周りのメガネ男子率の多いことに驚く。
 

 
ニューヨークで2日間Kiiiiiiiを観て、日本と同じように何ら問題なく(むしろ言葉の点では壁もなくよりスムーズに)ライブが成立していることが驚きだった。今回短い時間でチェルシーやソーホーなどを駆け抜けるように観て、日本人の名前を見かけることも多々あったし、上手く最初の足がかりさえ作れたら、今後日本と海外を行ったり来たりする活動も普通にあり得るのでは、と思った(そうなればぼくたちの海外旅行の楽しみも増えるだろう)。二人の「アウェイ力」、日本の昔話の「花咲じいさん」みたいに“枯れ木に花を咲かせる”ような無から有を生み出す力を、こういう場所で改めて目の当たりにできたことも今後の人生への大きな刺激となった。本当にありがとう。

⎯⎯ Kiiiiiii US Tour report 01: Tonic, NY, 03/APR/2007

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