AD/D=下山ワタル
PH=桑畑恒一郎
TX=川村恭子
CL=EMC、ソニーミュージックダイレクト
2005.10
Non Vintage|林立夫セレクション
ティン・パン・アレーやユーミンなどのバッキングで知られるドラマーの林立夫さんが、これまでレコーディングに参加した様々なアーティストの楽曲から自らセレクトした、2枚組コンピレーションアルバム。単なるドラマーの作品集の域を超えて、はっぴいえんど~ティン・パン・アレー人脈によるポップス/ニューミュージックの、お洒落で優れたアーカイヴ集となっている。
タイトルの“Non Vintage”は、ワインの用語で、いろんな収穫年(ヴィンテージ)の葡萄をブレンドして作ったシャンパンのことで、このアルバムのコンセプトそのものを表わしている。林さん自身もワインに造詣が深く、ワインラベルには面白いデザインが多いよ、といろんな国のラベルの画像をメールで送ってくれた。それらを眺めるうち、このアルバムそのものを一本のワインに見立てて、ワインラベルをそのままジャケットにすることを思いついた。いくつもの候補の中から、要素をそぎ落としたシンプルなデザインが多いイタリア産ワインにインスパイアされた案が選ばれた。
カバーはタイポグラフィだけで構成した。ジャケットが格好良く決まりすぎるのを避けるために、もともと自分でデザインした判子を入れていたが、林さんのアイデアにより、友人の篆刻家が彫った判子の印影を使用することになった。
ブックレット内のテキストで《ここには「オレがオレが」と自己主張するドラミングはないし、ドラマーの作品集だというのになぜか歌ものが多い。歌の気持ちを大切にした演奏がほとんどだ。歌を邪魔せず、余分なことをしない。周囲の音をとてもよく聞いている。それでいながら、彼にしか出せない音色、プレイ……つまりはとても個性的で冒険心にあふれているということ。》と評される林さんのドラミングは、自分が目指すデザインの理想にそのまま当てはまる。
このCDを見ていただいたのがきっかけで、黒沢健一さんからソロアルバムのデザインを依頼された。
⎯⎯東京バックビート族|P-Graph