D=下山ワタル
TX=佐藤剛
IL=北村範史
CL=リットーミュージック
2018.3
ウェルカム!ビートルズ 1966年の武道館公演を実現させたビジネスマン
(佐藤剛 リットーミュージック)
旧東芝レコードで坂本九「上を向いて歩こう」の世界的ヒットにも貢献した石坂範一郎の功績を中心に、ザ・ビートルズ武道館公演の実現に向けて奔走した日本人たちの姿に光を当てたノンフィクション。ウェブメディアでの連載の書籍化に際して、ブックデザインを担当した。
当時を知るファンの方々にも手に取ってもらえたらと考え、有名なビートルズ来日公演のポスターやチケットのヴィジュアルを引用した。ポスターに使用されているのと全く同じ書体が存在しなかったため、既存のデジタルフォントをベースに細部を加工したほか、オリジナルのユニオンジャックを日の丸に変更したりした。
中央に配したジョージ、ジョン、リンゴ、ポールのイラストは、オリジナルのポスターに入っていた写真と全く同じ構図と位置で、イラストレーターの北村範史さんにトレースに近い手法で描き起こしてもらった。
本書の「ウェルカム!ビートルズ」というタイトルも、ぼくから提案したものが採用された(「ウェルカム!ビートルズ」は、1966年の武道館公演初日のオープニングアクトとして日本を代表するロックミュージシャン4組により歌われたオリジナル曲。のちにジャッキー吉川とブルー・コメッツにより音源化されたほか、プラスチックスもカバーした)。このタイトルを思いついたのをきっかけに、表紙のアイデアが降りてきた。
著者の佐藤剛さんは、以前ぼくが勤務していたTHE BOOMや中村一義などの所属事務所(ファイブ・ディー)の社長で、90年代中盤にデザインを始めるきっかけを作ってくれた人。大変残念なことに、これが音楽ジャーナリストとしての著者のデザインに携わる最後の機会となってしまった。