次回の一日展「ひととき」(#5)のためのプレイリストを、開催に先がけて公開します。前回の#4では、昨年6月に亡くなった音楽プロデューサー/ジャーナリストの佐藤剛さんを追悼して、アイドルと昭和歌謡をテーマに選曲しました。
⎯⎯ 一日展「ひととき」について
仙川のフリースペースPOSTOで、ほぼ毎月開催している一日展「ひととき」のこと。
⎯⎯ 前回のプレイリストについて
音楽事務所(THE BOOM、中村一義等が所属)勤務時代のボスだった佐藤剛さんが好きだった「アイドルと昭和歌謡」を中心にセレクト。
今回は、去年初めて聴いたLampというバンドの音があまりにも良かったので、彼らと、Lampのテイストに通じる古今東西の楽曲を並べました。
展示に先がけて公開しようと思ったのは、プレイリストがあまりに心地よかったからです。遠方などの理由で作品とは出会ってもらえない人とも、同じ空間にいるような気持ちになれます。
あとは、このところ世の中悲しいことが多すぎるので、“処方箋”として。
Lampについてはこの記事のほか、彼らのサイトやネットに転がっているインタビュー、ぼくの2023: THE BESTの記事なども見てください。
今回、展示のテーマは音楽とは直接関係なく、制作途中の新作(タイトル未定)をご覧いただく「試読会」を予定しています。
⎯⎯ 新作「タイトル未定」試読会@仙川POSTO|P-Graph
+
Music for feeling low (with Lamp) について
ずっと不安と隣り合わせの人生をひそかに送ってきました。明るく、活動しているように見える時以外は、たいてい沈んでいます。
元々引っ込み思案で、人と話すのが誰よりも億劫だったぼくが、個展を開いて、初対面の人に話しかけたり、自ら会いたい相手に連絡して対話したり。よくここまでやってこれたものだなあと、自分で自分に感心してしまいます。人とおしゃべりするのが今は心から好きで楽しいけど、無意識の反動がいつも後からやってくる。心も、体(腰など)と同じ。
そんな日々を支える大切な「薬」が(「ちいかわ」以外では)音楽です。
いろんなタイプの音楽を広く浅く聴くかたわら、仕事中や就寝時はアンビエント系の音楽や、瞑想用のプレイリストを流しっぱなしにしていることが多いです。ただ、あまりにディープすぎるので、もう少し日常と地続きで刺激少なめの音楽を求めていました。……そんなときに出会ったのがLampでした。
ティン・パン・アレー周辺、70年代以降のSSW、渋谷系、90年代後半のラウンジ/ムード系など、シティミュージックの上澄みの薄いところ(悪い意味ではなく)を全部かき集めたような、タイムレスな音楽。KIRINJIっぽくもありつつ、あそこまでジェットコースター的なコードチェンジもない。グルーヴはあっても基本的に静か。
最新作の『一夜のペーソス』も、これまでに発表されたアルバムも、匿名的ながら一貫したテイストがあって、何度も繰り返し聴くようになりました。一方で、これまでにぼくが好きで聴いてきた音楽と重なる要素も感じられたので、共通性が感じられる先人の曲や同時代のアーティストも混ぜてみたら、よりLampっぽさが増したプレイリストになりました。
0の気分を1にすることはできないかもしれないけど、0を0.5に、ほんの少しだけ気分を上げてくれる音楽。それが「Music for feeling low」です。エモくなく、フォーキーすぎず、ダンサブルでもない、限りなくライトなBGM集。こういう音楽を必要としている人が、世の中には自分のほかにも少なからずいるんじゃないかと思っています。